内装工事の見積を作った後、「壁の面積が思っていたより広かった」「聞いていた天井高と図面が違った」という理由で再訪問や見積の作り直しが発生することがあります。現場では「出戻り」と呼ばれる手戻りで、施主にとっては着工の遅れ、施工会社にとっては採算のズレにつながります。
出戻りの多くは、現地調査(現調)でメジャーとメモだけを頼りに寸法を記録し、後から「あの壁、正確には何ミリだったか」を確認する手段が残っていないことが原因です。ここでは、現調時にiPhoneの3Dスキャンを併用し、後日の食い違いをAI秘書が確認する運用を紹介します。
出戻りが起きる典型パターン
現調から見積、契約までの間で寸法の食い違いが表面化するのは、だいたい次のような場面です。
- メジャーで測った寸法をメモに書き写す際の転記ミス
- 複数の部屋を同じ日に回り、どの数字がどの部屋のものか後で分からなくなる
- 壁の凹凸や設備の裏側など、メジャーが届きにくい箇所を目視の概算で済ませてしまう
- 見積時点では図面がなく、施主からの伝聞情報だけで面積を仮置きする
これらはメモを取る人の技量の問題ではなく、「現地でしか確認できない情報を、その場限りの記録にしてしまう」構造上の弱点です。再訪問すれば直せますが、日程調整とスケジュール遅延のコストがかかります。
現調でその場の空間ごとスキャンしておく
対策として、現調ではメジャーでの実測に加えて、iPhoneのLiDARを使った3Dスキャンで部屋全体を記録しておきます。歩きながら数十秒スキャンするだけで、壁・床・天井の形状データが残ります。
この記録の価値は、現調の場では気づかなかった疑問が後から出てきたときに発揮されます。「あの部屋の壁面積、もう一度確認したい」となったとき、再訪問しなくてもスキャンデータから寸法を拾い直せます。実際に、ある現場では壁の周長の出し方を後から見直した結果、面積の食い違いが金額換算で十数万円規模になっていたことがあり、これはメモだけでは気づけなかった差でした。
スキャンの精度はメジャーによる実測ほど厳密ではありません。私たちが実測と突き合わせた範囲では、天井高やスケールの誤差はおおむね1〜2%程度に収まっていますが、開口部の縁や複雑な入隅は精度が落ちやすいポイントです。そのため、スキャンは実測を置き換えるものではなく、実測を後から検証・補完するための記録として使います。
AI秘書がスキャンと実測メモを突き合わせる
AI秘書に任せるのは、現調で取ったスキャンデータと、メジャーで測った実測メモを突き合わせ、差が大きい箇所を洗い出す作業です。壁1本を基準にスキャン値と実測値を比較し、差が数%以内であればそのまま採用、差が大きければ「要再確認」の箇所として一覧にします。
複数の部屋をまとめて調査した場合には、部屋ごとの数量が本来違うはずなのに同じ数字になっていないか、というチェックにも使えます。同じ数字が並んでいる場合、実測をせずに概算のテンプレートで数量を作ってしまった可能性があるため、その部屋だけ現地確認をやり直すかどうかを判断する材料になります。
ここでもAI秘書が最終的な数量を確定させるわけではありません。スキャンと実測のどちらを採用するかは、現場の状況を知っている担当者が判断します。AI秘書の役割は、突き合わせの手間を減らし、確認すべき箇所を早い段階で見えるようにするところまでです。
出戻りを防ぐために現調で準備しておきたいこと
現調の段階で次を意識しておくと、後からの食い違いが起きにくくなります。
- 部屋ごとにスキャンと実測メモをセットで残し、どの部屋のデータか分かるようにファイル名や記録順を揃える
- 基準になる壁や開口部を1〜2箇所決めて、実測値を必ずメモに残す(後からのスケール照合に使う)
- 設備の裏側や家具で隠れている箇所は、メジャーが届かなくても「未確認」と分かる形で記録する
- 見積作成前に、スキャンと実測の差が大きい箇所がないか一度突き合わせる
まとめ:出戻りを減らすのは「記録を残す」ことから
3Dスキャンは、見た目の美しい提案パースを作るための道具である以上に、現調で得た情報を後から検証できる形で残しておくための記録です。出戻りの多くは、現地でしか確認できなかった情報がその場限りで失われることから起きます。スキャンと実測メモを両方残し、AI秘書がその突き合わせを担うことで、再訪問の回数を減らし、見積の精度を早い段階で高めることができます。
現地調査の記録から、数量の突き合わせまでご相談いただけます
ラポ秘書サービスでは、現調で取得した3Dスキャンと実測メモを突き合わせ、差が大きい箇所や再確認が必要な部屋を一覧にして整理します。AIだけで数量を確定させず、現地確認を前提に進めます。
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