テナントを出るとき、貸主から「スケルトンで返してください」と言われて固まった経験、ありませんか。
正直に言うと、この「スケルトン返し」と「原状回復」をごっちゃにしたまま見積を取ってしまって、あとで数十万、店舗によっては百万円単位で金額が変わってトラブルになるケースを、僕らは現場で何度も見てきました。言葉が似ているのに中身がまるで違う。ここを最初に整理しておくだけで、退去のお金の話はだいぶ楽になります。
世田谷で内装工事をやっているラポルタの新山です。今日はこの2つの違いを、できるだけ現場の感覚で書いていきます。
そもそも「原状回復」って何を戻すのか
原状回復は、ざっくり言うと「借りたときの状態に戻す」工事です。
ただ、ここが落とし穴で、「借りたときの状態」が人によってイメージが違うんですね。前のテナントが付けた間仕切りやクロス、床材はそのまま引き継いで入居していることが多くて、その場合の「原状」はあなたが入居したときの内装、ということになります。
具体的にやることはだいたいこのあたりです。
- クロス(壁紙)の張り替え
- 床材の補修・張り替え
- 自分で付けた間仕切りや棚の撤去
- 照明・エアコンの原状戻し
- 簡単なクリーニング
オフィスや小規模店舗だと、坪あたり3万円〜5万円くらいが一つの目安。20坪なら60万〜100万円前後をみておくイメージです。もちろん使い方の荒さや業種でかなり振れます。
「スケルトン返し」はもっと根こそぎ
一方でスケルトン返しは、内装を全部撤去して、コンクリートの躯体(くたい)がむき出しの状態まで戻すこと。「スケルトン=骨格」って意味です。
具体的には、
- 天井・壁・床の仕上げを全部撤去
- 間仕切りも全撤去
- 厨房やトイレなどの設備も撤去
- 配管・配線も基本は撤去(残す場合は協議)
飲食店だと厨房やダクト、グリストラップまで全部はがすので、これがけっこうな金額になります。スケルトン返しは坪あたり5万〜10万円、飲食やヘビーな造作が入っていると坪10万円を超えることも普通にあります。20坪の飲食店なら200万円前後を覚悟しておく、くらいの世界です。
つまり同じ20坪でも、原状回復なら80万円、スケルトン返しなら200万円。倍以上違うんです。ここを「だいたい同じでしょ」で進めると、痛い目を見ます。
どっちを求められているかは、契約書に書いてある
ぶっちゃけ、ここが一番大事です。
スケルトンで返すのか、原状回復でいいのかは、賃貸借契約書の「明け渡し」や「原状回復」の条項に書いてあります。退去の話が出たら、まず契約書を引っ張り出してそこを読んでください。
よくあるパターンはこの3つ。
- 「スケルトン渡し・スケルトン返し」 … 借りたときから躯体だけだった。返すときもスケルトンに戻す。
- 「居抜き渡し・原状回復」 … 前のテナントの内装込みで借りた。あなたが付けた分だけ戻す。
- 書き方が曖昧 … 「原状に復する」としか書いてなくて、その「原状」がどこを指すか不明確。
3番が一番モメます。貸主は「スケルトンが原状だ」と言い、借主は「入居時の状態が原状だ」と言う。ここは入居時の写真や引き渡し時の覚書が証拠になるので、退去だけでなく入居のときから残しておくのが本当は理想です。
後から追加請求されないためのチェックポイント
僕らがお客さんに必ず伝えているのは、この4つです。
- 契約書の原状回復条項を、退去通知の前に読む(交渉の余地がある段階で動く)
- 指定業者の有無を確認する(貸主指定の業者しか使えない契約だと、相見積もりが取れず割高になりがち)
- 写真で記録を残す(入居時・退去前。言った言わないを防ぐ)
- 「どこまで戻すか」を貸主と書面で握る(口約束は後で必ず揺れる)
特に2番の指定業者問題は大きいです。指定業者しかダメ、という契約だと金額が言い値になりやすい。逆に「相見積もり可」なら、僕らみたいな会社に相談してもらえれば、適正かどうかのセカンドオピニオンは出せます。
まず契約書を見せてください
スケルトンか原状回復か、その判断は契約書一枚で9割決まります。
「うちのこの契約、どっちなんだろう」が分からない状態で見積を取っても、土台がブレているので意味がありません。世田谷・都内近郊で退去を控えていて、契約書の読み方からつまずいているなら、まずはその契約書を見せてください。現地を見て「ここまで戻せばOK」のラインを一緒に整理します。
まだ退去するか迷っている段階でも大丈夫です。声をかけてもらえれば見に行きます。