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AI活用・業務効率化

「遅い=ロック競合」は誤診だった話

夜間の一斉対応でclose処理が100〜120秒かかる不満が複数のAI秘書ワーカーから同時に出ました。原因はロック競合ではなく、ロックを取得した後の処理内部にありました。原因の切り分け方と、不満を仕組みで拾って直す運用を紹介します。

現況:夜間の一斉対応で「close処理が遅い」不満が4件重なった

深夜、対応待ちの作業が0件になっているという警報が出ました。そこから2時間ほどかけて、複数のAI秘書ワーカーを順番に投入し、一晩で23件の作業を処理しました。内訳は、社内CADツールの座標計算がNaN・Infinityになる不具合が4件、ログファイルが壊れて無言でスキップされていた不具合が4件、UI検証の誤検知パターンが4種類、SEOタグの不一致が記事10本分、そのほか観測結果を書き戻す経路の修正などです。

作業自体は順調でしたが、途中から気になる報告が重なりました。4件のワーカーが、それぞれ独立に同じ不満を上げてきたのです。「作業の完了処理(close)が100〜120秒かかる」という内容でした。1件だけなら個別のばらつきで片付けられますが、4件が同じ数字を報告してくると、単なる偶然とは考えにくくなります。

対応:「遅い=ロック競合」と決めつけず、ログのタイムスタンプで切り分けた

こうした遅延の相談を受けると、まず疑うのは「誰かがロックを握ったまま離さない」という競合です。実際、最初の仮説もそこにありました。ロックの保持者を探し、長時間握っている処理がないかを洗い出そうとしたのです。

ただ、決めつけて動く前に、原因追跡専門のワーカーに切り分けを任せました。ログを実際に読むと、想定と違う形が見えてきました。タイムアウトは、ロックを取得した後に発生していたのです。ロック待ちで詰まっているのではなく、ロックを握った状態のまま、内部の処理に時間がかかりすぎてタイムアウトしていました。

さらに追うと、ロックの中で行っている処理自体に無駄がありました。負荷が低いときには1回で終わるはずのデータ書き出し処理を、ロックの中で2回実行し、そのうえで別の検証処理まで走らせていました。負荷が高い状態では、1回のデータ書き出しに約8秒かかることがあり、それが重なると30秒のタイムアウト上限に届いてしまいます。タイムアウトすると処理は最初からやり直しになるため、負荷が高いほど再試行が増え、再試行がさらに負荷を増やすという悪循環になっていました。同じ資源の奪い合いが、別系統の作業に割り当てていた90秒の処理時間まで食いつぶしていたことも分かりました。

結果:見えていた症状と、実際の原因は別の場所にあった

「ロック待ちで遅い」という見立てのまま調べていたら、保持者探しに時間を使い、根本原因にはたどり着けなかったはずです。ログのタイムスタンプが「ロック取得の前」か「取得の後」かを見るだけで、疑う場所がまったく変わりました。

もう一つ気づいたことがあります。UI検証の不具合を洗い出した際、模擬データ(モックデータ)だけで試すと「ほとんどが誤検知」という結果になりました。ところが実際のページで走らせ直すと、40件中39件が本物の不具合で、モックでの見立てとは大きく違っていました。テスト環境の作り込みが甘いと、判断そのものを誤らせるという教訓です。

まとめ:不満は2回出たら仕組みで拾う

今回の一連の対応から得た学びは3つです。

  1. 「遅い=ロック競合」と決めつけず、タイムアウトがロック取得の前か後かをまず確認する
  2. 同じ不満が2回以上出たら、個人の感覚で終わらせず正式な改善対象として記録する
  3. 模擬データだけのテストでは、実環境での誤検知率を正しく測れないことがある

一晩で23件を処理できたこと自体より、この「なぜ遅いのか」を早く正しく切り分けられたことのほうが、次の対応の速さにつながると感じています。AI秘書の運用でも、報告されたエラーメッセージや体感速度をそのまま信じず、ログの時系列を見て原因を切り分ける姿勢を徹底しています。

「対応が遅い」「原因が分からない」を一緒に切り分けませんか

ラポ秘書サービスでは、日々の作業対応で出た不満や違和感を記録に残し、2回以上重なったものから優先して原因を切り分けて直す運用を回しています。感覚での判断ではなく、ログに基づいた原因特定を大切にしています。

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