現況:「実装」と「評価」を同じ担当に任せない
AI秘書に仕事を任せる範囲が広がるほど、気になってくるのが「AI自身が出した結果を、AI自身がチェックして良しとしてしまう」問題です。実装した本人が自分の作業を評価すると、細かい見落としをそのまま通してしまうことがあります。これは人間の作業でも同じで、レビューを別の人に頼む理由と同じです。
そこでうちでは、実装を担当する係と、その結果を検収する係を最初から分けています。検収役は普段は固定の担当に絞り、実装側の都合(急いでいる・面倒くさい)に流されず、機械的な基準で判定させるようにしています。
対応:数値の「読み取りどき」が違うだけの誤りを検収役が拾う
先日、生成処理を安全に止めるための基準値(異常が起きた時に処理を止める閾値)を見直す作業がありました。実装側は、直近で異常が起きた時に記録された数値を参考に、新しい基準値を計算して本番へ反映しようとしていました。
ここで検収役が引っかかったのが、「その数値は異常が起きた後の状態を読んだものであって、通常時の基準として使うべき数値とは条件が違う」という点でした。異常後の数値をそのまま基準にしてしまうと、平常時の判定基準が実態より厳しすぎる方向にズレてしまいます。検収役はこの違いを指摘して差し戻し、実装側は正しい条件で数値を取り直して再提出しました。結果として、本番に反映される直前でズレた基準値を止められました。
結果:「賢さ」より「役割を分けているか」が効いた
この一件で感じたのは、AIのモデルが新しくなって処理の精度が上がっても、実装と評価を同じ担当が兼ねていたら、この種の見落としは防げなかっただろうということです。効いたのは性能ではなく、役割を分けて、検収役に立ち止まって確認させる体制そのものでした。
複数のAIを使い分ける場面が増えても、この原則は変えていません。作る担当と確認する担当を分け、確認する担当には「急いで通す」インセンティブを持たせない。地味ですが、本番に近い作業ほどこの分離が効いてきます。
まとめ:AIを増やすほど、役割分担を先に決める
AI秘書の頭脳が新しくなったことよりも、実装と評価を分ける体制を先に作っていたことの方が、今回の件では効きました。中小企業がAI活用を広げていくときも、「誰が作るか」だけでなく「誰が確認するか」を最初に決めておくことが、事故を防ぐいちばん近道だと思います。
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