正直に言うと、飲食店オーナーからの相談で一番多いのが「もっと早く言ってくれれば」というやつです。
6月の終わり、エアコンから変な音がする。厨房の床が一部ぶよぶよする。でも忙しいから後回し。そうこうしてるうちに、7月の一番混む時期にエアコンが止まる。真夏に空調の効かない店で、お客さんが黙って帰っていく。これ、毎年どこかの店で起きてます。
あなたの店、去年の夏を思い出してみてください。暑さでお客さんが減った日、ありませんでしたか?
ぶっちゃけ、夏の書き入れ時に向けた内装の手入れは「今」動くのが正解です。理由から順に話します。
夏前に改装の需要が高い理由
なぜ内装屋の6月は毎年こんなに忙しいのか。答えはシンプルで、夏に設備トラブルが集中するからです。
- エアコンの故障は7〜8月にピーク。フル稼働で古い機器が音を上げる
- 湿気で床材やクロスの浮き・カビが一気に表面化する
- ビアガーデンや夏メニューで客数が普段の1.3〜1.5倍になる店が多く、傷んだ設備に負荷が集中する
つまり夏は、内装が一番働かされる季節なんです。人間でいえばフルマラソンの当日。その日にケガしないよう、事前に整えておく。それが夏前改装の本質です。
もうひとつ実務的な話。繁忙期に入ると工事の予約が取れません。うちも6月後半は現場が埋まって、7月着工の相談を断ることがあります。逆算すると、動くなら梅雨のうち。
メンテナンスと改装の見極め方
ここが一番迷うところだと思います。「直せば済むのか、それとも作り直しなのか」。
判断基準はこう考えてください。
メンテナンス(部分補修)で足りるケース
- クロスの一部剥がれ、床の小さな傷
- エアコンの効きが落ちてきた(清掃・部品交換レベル)
- コーキング(すき間の充填材)の劣化
改装(まとまった工事)を検討すべきケース
- 同じ場所を毎年直している(補修の繰り返しは赤字のサイン)
- 厨房の水漏れ・排水の詰まりが頻発する
- 内装が古く見えて、客層とズレてきた
覚えておいてほしいのは、補修を3回繰り返したら改装を考えるラインということ。3回分の補修費を足すと、たいてい一回の改装費に近づきます。継ぎ足しで直すより、まとめて手を入れたほうが安い。これ、うちが何度も失敗して学んだことです。
内装には耐久年数があります。クロスや床は7〜10年、厨房機器はおよそ10年、給排水の配管は15〜20年。ただし飲食店は油・水・熱の三重苦なので、この数字より早く傷みます。実際、5年でクロスが黄ばみ、床が黒ずむ店はザラです。
正直、うちも昔「まだ大丈夫」と補修でしのいで、結局半年後に大工事になった現場があります。あのときの追加費用は、最初からやっておけば3割は浮いた。だから今は、耐久年数を過ぎた設備は「予防的に替える」提案をしています。
費用の目安
一番気になるお金の話をします。数字はあくまで目安ですが、判断材料にはなるはずです。
- エアコンの入れ替え(業務用1台): 20万〜50万円
- 床の張り替え(20㎡・厨房やフロア一部): 15万〜40万円
- クロス全面張り替え(30㎡の客席): 10万〜25万円
- 厨房の部分改装(水回り含む): 80万〜200万円
- 店舗まるごとの改装(15坪クラス): 300万〜600万円
ここで大事なのは、部分補修を組み合わせると、意外と全体改装の半額に近づくことがあるという点。逆に言えば、あちこち傷んでいるなら思い切って全体をやったほうが得な場合もある。だから最初の見積もりで「補修案」と「改装案」の両方を出してもらうのがコツです。片方だけだと比較できません。
あと、忘れがちなのが営業を止めずにやる工夫。深夜工事や分割施工で、店を開けたまま進められます。その分の人件費で1〜2割高くなることはありますが、繁忙期の売上を守れるなら安いもの。うちはこの相談が夏前に集中します。
まとめ
飲食店の内装は、夏に一番酷使されます。だからこそ、傷みが表に出る前の今が動きどきです。
- エアコン・床・水回りは夏にトラブルが集中する
- 同じ場所を3回直したら、改装のサイン
- 内装の耐久年数は7〜10年、飲食店はもっと早い
- 補修案と改装案、両方の見積もりを取って比べる
正直、判断に迷ったら現場を見せてもらうのが一番早いです。写真じゃわからない床のたわみや、においでわかる水漏れって本当にあるので。
夏本番までまだ間に合います。まずは気になっている場所を一つ、教えてください。うちが見て、直すべきか・様子見でいいかを正直に伝えます。一緒に、今年の夏を乗り切る店をつくりましょう。
