正直に言うと、私も昔は「内装工事は夏を避けるべき」と思い込んでました。
梅雨で湿気が多い、塗料が乾かない、職人も夏バテする。だから秋まで待ちましょう、と。お客さんにもそう言ってた時期があります。
でも、これ半分ウソでした。
世田谷で内装屋をやって10年以上。飲食店から美容室、個人宅まで、真夏の8月に着工した現場も何十件と施工してきて分かったのは、**夏工事は「知ってれば得、知らないと損」**というシンプルな話だったんです。
今日はその中身を全部話します。夏にお店の改装やリフォームを考えてる人、ちょっとだけ時間をください。
夏工事のメリット・デメリット、両方ちゃんと言う
まずデメリットから。隠しても仕方ないので。
乾かない、これが一番きつい。
内装工事には「乾くのを待つ」工程がめちゃくちゃ多いんです。塗装、左官(壁の塗り仕上げ)、床の接着剤、コンクリートの補修。梅雨から真夏の湿度70〜80%の環境だと、本来1日で乾くはずの塗装が2日、3日かかることがある。ここは施工計画を立てる段階で一番注意すべきポイントです。
パテ(壁の下地を平らにする材料)なんかは、乾く前に次を塗ると後で浮いてきます。焦って進めた現場で、引き渡し2ヶ月後に壁がボコボコになって、無償でやり直した苦い経験、あります。あれは本当に凹んだ。
もう一つ注意したいのは職人のコンディション。天井裏の作業なんて夏場は40度超えます。集中力も落ちるし、無理させれば事故のリスクも上がる。ここは正直、工程を詰めすぎちゃいけない部分です。
じゃあメリットは何か。
- 職人が確保しやすい — 6〜7月は業界の閑散期。腕のいい職人のスケジュールが空いてる
- 見積もりが通りやすい — 暇な時期だから、値引き交渉に応じてもらいやすい。実際、同じ工事内容で秋より1割近く安くなったケースもある
- 飲食店なら夏枯れ期に工事を当てられる — 客足が落ちる時期に休業して工事、繁忙期にリニューアルオープン。これが一番賢い
つまり段取りと時期の選び方次第で、夏は「安く、良い職人で」施工できる季節でもあるわけです。
費用への影響、ここが本題
夏工事で費用がどう動くか。ぶっちゃけ、工事費の単価そのものは季節で変わりません。
変わるのは3つ。
- 工期が延びた分の人件費 — 乾燥待ちで1〜3日延びると、その分の職人の日当が乗る。1人1日2万円前後として、3人現場が2日延びれば12万円くらい
- 現場の空調・除湿コスト — 乾燥を早めるために冷房や業務用除湿機を回す。電気代とレンタル代で数万円
- 逆に安くなる分 — 閑散期割引や職人の確保しやすさで、うまくやれば全体の5〜10%は下げられる
だから実際は「延びるコスト」と「安くなるコスト」が相殺し合う。ちゃんと段取りすれば、夏工事はむしろトントンか、少し得になることの方が多いです。
一番もったいないのは、何も知らずに「夏だから」と秋まで待って、繁忙期の高い単価で、しかも人気の職人が埋まった中で工事すること。これが実は一番高くつくパターンなんです。
30坪の飲食店居抜き改装で、ざっくり400〜600万円が世田谷あたりの相場。この規模だと、夏の段取り一つで20〜40万円は普通に変わります。バカにならない金額です。
対策、これだけやれば夏の施工は怖くない
長年やってきて、夏工事を成功させる勘所はこの4つに絞れます。
その1:空調を最初に入れる
これが最強の対策です。エアコン工事を工程の先頭に持ってきて、現場を冷房・除湿してから塗装や左官に入る。湿度をコントロールできれば、乾燥待ちの問題はほぼ消えます。順番を変えるだけ。お金はかかりません。
その2:乾燥待ちを前提に工程を組む
夏は最初から「塗装は2日みる」で組む。無理に詰めて後でやり直すより、1〜2日の余裕を最初から入れておく方が、結局は早くて安い。急がば回れ、です。
その3:作業は朝型にシフト
職人の負担を減らすため、朝7時開始・昼過ぎ終わりの現場もあります。一番暑い午後2〜3時を避けるだけで、作業効率も安全性も上がる。ここも熱中症に注意しながら進める大事な工夫です。
その4:閑散期割引を狙って早めに相談する
6〜7月の見積もりは値引きが通りやすい。ただし人気の職人は早い者勝ちなので、施工の1〜2ヶ月前には話を進めておくのがベスト。
まとめ:夏は避ける季節じゃなくて、攻める季節
もう一回だけ言わせてください。
夏の内装工事は「やめとけ」じゃなくて、**「段取りを知ってればお得な季節」**です。
- 乾燥待ちで工期は1〜3日延びやすい、でも空調を先に入れれば防げる
- 費用は延びる分と安くなる分が相殺、うまくやれば5〜10%安い
- 30坪の改装なら、段取り次第で20〜40万円変わる
大事なのは、季節そのものより「その季節を分かってる業者と組めるか」です。夏の湿気を計算に入れて施工計画を立てられる会社なら、8月着工でも何も怖くない。
もし今、店舗の改装や自宅のリフォームで「夏はどうなんだろう」と迷ってるなら、まずは相談だけでもしてください。世田谷の現場を10年見てきた立場から、あなたの物件と時期に合った一番損しないやり方を、一緒に考えます。
暑い夏を、良いスタートに変えましょう。
